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もはや修行ですね(笑)。人と疎遠になるくらい編み物に取り組んでいます|MEDICOM TOY

2018年12月6日 - limeimei2

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

KNIT GANG COUNCIL
編み物☆堀ノ内さんに聞く(1)

時代のアイコンをカラフルなセーターに編み込むSNSで話題沸騰のアーティスト、編み物☆堀ノ内さん。グラフィックデザイナーを生業としていた堀ノ内さんがニットに目覚めたのは2012年。これまではハンドメイドゆえに極少量しか作られてこなかったが、メディコム・トイとのコラボレーションにより「KNIT GANG COUNCIL featuring 編み物☆堀ノ内」というブランドがスタートすることになった。今回は堀ノ内さんが編み物を始めたきっかけ、そしてブランド設立に至る経緯をうかがった。

Photographs by Ohtaki KakuText by SHINNO Kunihiko

グラフィックデザイナーだから製図は作れる

もはや修行ですね(笑)。人と疎遠になるくらい編み物に取り組んでいます|MEDICOM TOY

“狂い編みサンダーニット”
編み物☆堀ノ内
桑沢デザイン研究所を卒業後、グラフィックデザイナーに。「毛糸で絵を描きたい」と思い立ち、編み物を習得し2012年より「編み物☆堀ノ内」名義で編み物アーティストとして活動開始。家庭用編み機を使用した機械編みと手編みの二刀流で作品を製作している。編み物において大きな影響を受けたのは、小説家の橋本治さんが1984年に刊行した『男の編み物、橋本治の手トリ足トリ』。初めて編んだ作品は、心の師匠(マスター)、ブルース・リーのベスト。現在は岡村靖幸や中村達也などミュージシャンとの編み物コラボも実施。作品は雑誌NYLON、装苑や、アメリカ、ドイツなど海外のWEBメディアにも取り上げられている。
https://www.amimono.tokyo/

――もともとグラフィックデザイナーの堀ノ内さんが、なぜ編み物作品を発表していこうと思ったんですか?

堀ノ内 たまたま音楽系情報サイトを見ていたら、ロックをモチーフにした手編みのセーターを世界中から集めて特集している記事があったんです。

いま見ると2、3色で編んだそんなに複雑なものじゃないんですけど、それがすごく面白くて。

一時期流行ったアグリーセーター(※欧米のクリスマスシーズンにクリスマス特有の柄を過剰に編み込んだ悪趣味さを楽しもうとするもの)みたいな感じで、自分の好きなものを編んでみようと思ったのが最初です。

それまで編み物なんてやったこともなかったんですが、グラフィックデザイナーだから製図(※絵柄を編むための図面)は作れることに気づいて。

だったらあとは技術を学ぶだけだなと思って、まずは手編みを独学で習得しました。

――独学でここまで緻密な作品を編めるのは驚きです。

もはや修行ですね(笑)。人と疎遠になるくらい編み物に取り組んでいます|MEDICOM TOY

堀ノ内 橋本治さんの『男の編み物 橋本治の手トリ足トリ』(1983年刊)という本がありまして。橋本さんが編んだ山口百恵さんや沢田研二さんのグラフィックのセーターが載っていて、当時すごく話題になったんです。編み物のHow to 本としてもすごく優れていて、参考書としては一番分かりやすかったです。さすが頭いい人が書くと違うなと思う説明の上手さですね。

――作品第一号は何だったんでしょう?

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もはや修行ですね(笑)。人と疎遠になるくらい編み物に取り組んでいます|MEDICOM TOY

堀ノ内 ブルース・リーのベストです。ニットというソフトなイメージで硬派なブルース・リーを作ったら絶対おもしろいぞと思って。

次に作ったのが横山やすしさんのセーターでした。最初は初期衝動だけで作ってみたんですけど、SNSで紹介したところ自分の予想を超える反響があって。

ところが、なんとか編めるようにはなったものの1点作るのに1カ月近くかかるので、これじゃ仕事にならないなと思って、家庭用の編み機を導入しました。

ただ家庭用の編み機については何のHow to 本も出てないし、YouTubeで探してもほとんど出てこない。なので千葉にあるカルチャースクールに週一で半年ぐらい通い、マダムにまざって機械編みを習得しました。それでも1点編むのに1週間くらいかかるんですけど。

――家庭用編み機で、あれだけ複雑な絵柄が編めるものなんですか?

堀ノ内 編み機も複雑な絵柄は想定していないので、最初は複雑な絵柄は編むことができなくて。前身頃の絵柄のところだけ手編みで編んで、無地部分だけ機械で編んでいたんです。先生も編み機で絵柄を作るのは無理だとおっしゃっていたんですけど、いろいろ試行錯誤した結果、機械でも作れるようになりました。要は根気ですね。

なぜ先生ができないとおっしゃってたのかと言うと、人の顔の入り組んだ製図は、なかなか作れないからなんです。そこはやっぱりグラフィックデザインをやっている強みだと思います。

――’70年代、’80年代のサブカルチャー要素もさることながら、ロックミュージシャンをモチーフにした作品も多いですね。

堀ノ内 SNSで反響が大きいのは皆んなが好きなメジャーアーティストで、セーターで面白いモチーフを編むという僕のコンセプトは、あまり理解されないみたいなんです(笑)。

だったら、もうちょっとロック寄りでやってみようかなと思ってデビッド・ボウイのセーターを作ったら、ものすごい問い合わせがきて。

やっぱりアーティストの知名度と反響はつながるんだなと思って。それで最近はどんどんロック寄りになってきています。

――写真のようにリアルなものをニットで表現するには根気がいりますよね。

堀ノ内 もはや修行ですね(笑)。編み物を始めてからは人と会うとか飲みに行くということがほとんどなくて。作業に時間を取られちゃうので、人と疎遠になるくらい編み物に取り組んでいます。

もはや修行ですね(笑)。人と疎遠になるくらい編み物に取り組んでいます|MEDICOM TOY

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