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フェイスブック、荒らし対策の最前線<下> 2016年からの教訓

2018年11月30日 - limeimei2

 7月に発覚した偽情報の拡散活動には、ロシア政府が支援するネット企業、インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)が2016年の米大統領選で用いたのと似た手口が使われたが、フェイスブックで偽情報の拡散の排除に取り組んでいるナサニエル・グライシャー氏によると、悪事の手口はより巧妙化しているという。例えば、トロールたちは仮想プライベートネットワーク(VPN)を使って居場所を隠したり、特定の国とのつながりがない携帯電話を使用したりしていた。「彼らは規律ある対策を講じて、容易に発見されないようにしている」とグライシャー氏は指摘する。2016年の大統領選で、ロシアのトロールたちがフェイスブック上で何十万人もの米国人フォロワーを集め、彼らを標的にした広告を掲載し、その費用をすべてルーブルで支払うというのは、フェイスブックのようなハイテク企業にとっても、また多くの米政府関係者にとっても想定外だった。フェイスブックはこれまで、常に強固なデータセキュリティー対策を講じてきたが、同社が最近まで重点を置いていたのはユーザーたちのパスワードを盗むハッカーのような「従来型の脅威」で、ロシア人がフェイスブックのプラットホーム上で行っていた情報操作への備えはできていなかった、とグライシャー氏は指摘する。これはフェイスブックに限ったことではない。連邦政府も、2016年の米大統領選前にフェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディア・プラットホームを悩ませた偽アカウントや虚偽情報の猛攻に対して不用意だった。その要因のひとつは、連邦政府には、情報戦争に対処する単独の機関というものが存在しないことだ。8月にホワイトハウスで行われたブリーフィングで、諜報機関の職員らが協調的な選挙セキュリティー対策について説明を行ったが、その対策がこれまでどれほどの成果を上げているかを知るには時期尚早だ。 米国では11月に中間選挙が行われ、2020年には次の大統領選も控えているが、これらの選挙を他国による妨害から守れると誰もが確信しているわけではない。しかし、グライシャー氏は慎重ながらも、フェイスブックの取り組みと、他のプラットホーム、独立系研究者、政府機関らによる同様の取り組みが相まって、前回の大統領選時の混乱の再発阻止に寄与するとの希望を捨てていない。これは非常に困難な取り組みであり、グライシャー氏も決して容易ではないことは認めている。グライシャー氏は「この問題に特効薬は存在しない」と強調した。◇連載終わり