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POGGY’S FILTER|vol.4 クリス・ギブスさん

2019年3月29日 - limeimei2

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小木“POGGY”基史氏がホストを務める『POGGY’S FILTER』の第4回目のゲストは、バイヤーという立場で、ストリートウェアとハイファッションを融合させた先駆者として知られる、LAの有名セレクトショップ、UNION(ユニオン)のオーナーであるChris Gibbs(クリス・ギブス)氏だ。ユニオンのニューヨーク店勤務を経て、LAに移ってからはユニオンのスタッフからバイヤー、最終的にはショップオーナーにまで登り詰め、現在はアメリカ国内はもちろんのこと、世界中のファッションシーンへ多大な影響を与える存在の彼。昨年、原宿にオープンしたUNION TOKYO(ユニオン・トーキョー)にて、彼がこれまでバイヤーとして手がけてきたブランドとのエピソードや、今のファッションシーンに対する思いなどを存分に語ってもらった。

Interview by KOGI “Poggy” MotofumiPhotographs & Text by OMAE Kiwamu

今のパリはエネルギーが生まれる場

POGGY 今年1月のパリのメンズファッションウィークはいつもよりも忙しい印象だったけど、クリスはどう感じた?

クリス・ギブス(以下、クリス) そうだね。確かにすごくクレイジーだったよね。

POGGY 以前はカジュアル系だとラスベガスの「MAGIC」と同時期に開催されるようなトレードショー、デザイナーズ系はニューヨークのファッションウィークで発表していたブランドが、年々、パリへ発表の場を移しているからなんだと僕は思うけど、どうかな?

POGGY’S FILTER|vol.4 クリス・ギブスさん

クリス デザイナーたちは皆、ハイプが起きているところに行きたがるし、そこにエネルギーが生まれるからね。今はそれがパリになっている。僕はパリと、あとは東京に展示会を見に来るぐらいで、イタリアやロンドン、ニューヨークにも行かない。だからこそ僕にとっては、難しいことでもあったんだ。なぜならば、ユニオンにコレクションを見せたいって言ってくれているブランドが沢山ありすぎて、僕らのスケジュールはパンパンだったから。見に行くことができなくて、何人かのデザイナーたちをがっかりさせてしまったかもしれない。次のシーズンはまたどうなるかわからないけど、すごく楽しみ。皆がパリに集まっている状況について、ポギーはどう思う?

POGGY 良い面も悪い面もあるよね。今までは僕達みたいなストリートファッションが好きな人にとっては、パリの敷居は高かった。ただ、今は敷居そのものがなくなってきていて、これまでハイファッションに対して抱いていたものが、崩れすぎているような気もする。

クリス 確かに。同じように思うし、僕自身、それに対しての葛藤もある。

POGGY ラグジュアリーストリートシーンを語る上で外せない、ヴァージル(・アブロー)のOFF-WHITE(オフ・ホワイト)の前身ブランド、PYREX VISION(パイレックス・ヴィジョン)をユニオンがいち早く取り扱っていたと思うけども、パイレックスを扱うことになった経緯は?

クリス 当初はヴァージルのことをよく知らなかったんだけど、ある日、ネットサーフィンしながら新しいブランドのリサーチをしている時に、パイレックス・ヴィジョンのビジュアルに辿り着いたんだ。アイデアがとても良かったから、メールで問い合わせたんだったかな? そもそもヴァージルがやっているブランドっていうことさえも知らなかったけど、「とてもクールなコレクションですね。興味があります」って送ったら、すぐにヴァージル本人から返事がきたよ。「あなたのこともユニオンのこともよく知っているし、ファンです。こうやって連絡をもらえて光栄です」ってね。それで取り扱いが始まって、ユニオンがパイレックスを扱った世界で最初のショップになった。でもパイレックスの500ドルのフランネルシャツを見て「カッコ良いけど、ユニオンで売れるかな?」って悩んで、MサイズとLサイズ、それぞれを一枚ずつオーダーして店頭に出したら、1時間で売れてしまった。だから、そのあとすぐ追加でオーダーすることになったんだけどね。

POGGY パイレックスのようなアメリカのブランド以外にも、ユニオンはVISVIM(ビズビム)のような日本ブランドもアメリカのマーケットへ紹介してきたわけだけど、そういったブランドを取り扱うようになった経緯や、紹介してきた日本のブランドに対するアメリカのマーケットの反応はどうだった?

POGGY’S FILTER|vol.4 クリス・ギブスさん

クリス 僕がユニオンのニューヨーク店で働き始めた時は、日本のブランドの取り扱いはなかった。当時、お店には大勢の日本人観光客や学生が買い物に来て、アメリカのストリートウェアを日本に持ち帰っていたんだ。その頃、ニューヨークでA BATHING APE®(ア・ベイシング・エイプ)が一部でカルト的な人気になり始めたんだけども、ニューヨークでは手に入れるのが難しかった。NIGO®はFutura(フューチュラ)とStash(スタッシュ)と仲が良かったから、彼らにア・ベイシング・エイプの服を大量に送っていたみたいで、彼らはその一部を自分たちの店でも売っていた。ショップの名前は……

POGGY RECON(リーコン)!! BSF(=Blue Stash Futura)とか懐かしいね。

クリス そうそう! ニューヨークではリーコンくらいでしかア・ベイシング・エイプは買えなくて、しかも数が限られているから、知る人ぞ知る存在だった。その後、ニューヨークからLAへ引っ越したら、LAのユニオンでは、すでにア・ベイシング・エイプやNEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)、WTAPS(ダブルタップス)を扱っていて。ただ、とても数が少なかったから、「もっとオーダーするべき」って訴えたんだ。その説得に1年ぐらいかかってしまったけど、最終的に僕がバイヤーとして東京へ買い付けに行くことになった。自分がバイヤーになってからは、以前の100倍は日本のブランドをオーダーするようになったかな。日本のブランドは高価だったから、最初は少数の人たちにしか理解してもらえなかったけど、お客さんは喜んでくれたよ。時間はかかったけど、いわゆる日本の裏原ブランドの虜になって、どんどんファンが増えていったんだ。

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